【創作】おむすび

むかしむかし
木こりのおじいさんはお昼になったので
切りかぶに腰をかけて
お弁当を食ベる事にしました

うちのおばあさんがにぎってくれた
おむすびは、まったくおいしいからな

ひとりごとを言いながら
タケの皮の包みを広げた時です

コロリンと、おむすびが一つ地面に落ちて
そばの穴ヘ転がり込んでしまいました

おやおや、もったいない事をした

おじいさんが穴をのぞいてみますと
深い穴の中から
こんな歌が聞こえてきました

パプリカ 花が咲いたらー♪

不思議だなあ
誰が歌っているんだろう?

こんなきれいな歌声は
今まで聞いた事がありません

どれ、もう一つ

おじいさんはおむすびをもう一つ
穴の中へ落としてみました
するとすぐに歌が返って来ました

晴ーれた空に種を蒔こー♪

これは、おもしろい!

おじいさんはすっかりうれしくなって
自分は一つも食ベずに
おむすびを全部穴へ入れてしまいました

次の日、おじいさんは
昨日よりももっとたくさんの
おむすびをつくってもらって
山へ登っていきました
お昼になるのを待って
コロリンコロリンと
おむすびを穴へ入れてやりました

そのたびに穴の中からは
昨日と同じかわいい歌が聞こえました

おむすびがお終いになってしまった…
だけど、もっと聞きたいなあ…
そうだ!
穴の中へ入って頼んでみることにしよう!

おじいさんはおむすびの様に
コロコロころがりながら
穴の中へ入って行きました
するとそこには数え切れないほどの
大勢のちゅー達がいたのです

ようこそ、おじいさん
ひとついいかな?

おじいさんは驚きまくりましたが
は、はいっ!と答えました

おじいさん、このおむすびさ
ちょっと微妙だよね?

おじいさんは理解が追いつかず
と、言いますと?と恐る恐る尋ねました

すると大勢のちゅー達は一斉に
ちょっと梅干し酸っぱすぎる!だの
最近流行りのエビアボカドが食べたい!だの
わかるー!ちゅーアボガド好き!だの
アボガドじゃないよ、アボカドだよ!だの
流行りと言えばタピオカっしょ!だのと
不平不満をぶちまけはじめました
おじいさんは段々腹がたってきました

わしは食べてないのに…

おじいさんは穴から這い上がりながら
心に固く復讐を誓いました

翌日おじいさんは
まず穴にビールを流し込みました
ちゅーはお酒にあまり強くありません
すると穴の底から

ファフリィファー鼻が埼玉ー♪

と、訳の分からない歌が聞こえてきました
どうやらちゅー達は酔っ払い始めたようです
おじいさんは、しめしめ!と
まるでたけコンブのような顔になりました
そこでおじいさんは次に
大量のラーメンを流し込みました
それは大量のチャーシューと共に
脂がぎとぎとに浮きまくった
高カロリー高にんにくな激しいやつです

※画像はイメージです(が今夜の晩御飯です)

すると穴の底から悲痛な悲鳴が響き始めます
それは想像するだけで恐ろしい
「胃もたれ」「体重増」「にんにく臭い」
「だけど奥の餃子は美味しそう」
「耐えられないのでご飯の大ひとつ!」
という絶望にも似た恐怖の叫びです

それはそうと酔っぱらっていますので
オチが浮かびませんゆえに、
とりあえずおじいさんとおばあさんは
それはそれは幸せに暮らしましたとさ

おしまい

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SILENT YARITORI

ちゅーへの手紙