【創作】桜の思い出

おねえちゃん、なにしてるの?

あのね、さくらのはなびらあつめてるの!

たのしそう!ぼくもやるー!

ありがとう!
このふくろにたくさんあつめて!
あ、こら!つちはいれちゃだめ!

ちゅーちゃんと弟はお喋りしたり
たまに少しだけケンカしながら、
ビニール袋に桜の花びらを集めました。

風はまだ冷たくて、
ちゅーちゃんは両手に「はぁ」と
息を吐きながら満開の桜を見上げました。
ピンクの花びらの隙間から覗く
透き通るような空の青が綺麗で、
ちゅーちゃんはにっこりと笑いました。
弟はいつの間にか穴を掘って遊んでいます。

そろそろかえろうか。
はなびらもいっぱいになったし。

うん。
ねぇ、そのはなびらどうするの?

あのね、おとうさんにぷれぜんとするの!

ふーん。

右手に桜一杯の袋を持って
左手は弟と手を繋いで、
適当な歌を大きな声で歌いながら
ゲラゲラ笑いながら帰りました。
「おとうさん、よろこんでくれるかな」
ちゅーちゃんはまた思わずにっこり。

やがてお仕事から帰ってきたお父さんに
ちゅーちゃんは袋一杯の桜を渡しました。

おとうさん、これぷれぜんと!
いつもありがとう!

わぁ、これは凄い!とても綺麗だ!

あのね、
まくらにしたらきっときもちいいよ!

そうだね、ありがとう!
でも枕にしちゃうのは勿体ないなぁ…
今夜はここに飾っておこう!

あのね、ぼくもあつめたんだよー!

そっかそっか。
二人とも、ありがとうね。

ねぇねぇ!おとうさん!
またそらをとぶやつやってー!

えー、疲れてんだけどなぁ…
まぁ仕方ないか!

お父さんは両手をまるで翼のように
バタバタさせながら大きくジャンプ!
二人は思わず「わぁ!」と声を上げ
その後またゲラゲラと笑いました。

三人でバタバタとジャンプをしながら、
ちゅーちゃんはテレビの横に置かれた
袋一杯の桜に目をやりました。
それはすごく綺麗で、嬉しくて
とても暖かい気持ちになりました。
ちゅーちゃんのほっぺは
まるで桜のようにピンク色に染まりました。

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SILENT YARITORI

ちゅーへの手紙