無題

鉛のように重たくなった身体は
まるで重力が倍にでもなったかのように
深く深く沈み込んでいく
それは
夜空からゆっくりと落ちるようでもあるし
柔らかいベッドから伸びた手に
音も無く引きずりこまれるようでもあり
全身が熱を帯びて
感覚は麻痺を迎える

誰かを傷つけた数と
君に言えなかった言葉の数と
あの部屋に置いてきた本の数を
薄れる意識の中で数えながら

草原で眠るシマウマ
疲れ果ててなお
立ち止まることを許されない旅人
散らかったままのトランプ
飲みかけのグラス
思い出せない約束

ふっと魂が抜け出るように
身体がふわりと浮き上がる
無重力の空間の中
同時に舞い上がった幾千の白い羽を
かき分けながら泳ぐように浮遊して
辿り着いた君の首に腕を絡める

遠くの方で笑っている
薄汚れた羊と目が合わないように
一枚の羽でそっとその目をふさぐ

君の夢がどうか犯されませんように

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SILENT YARITORI

ちゅーへの手紙