【創作】たのきゅう


ねぇ、たのきゅう

最初に僕は君の名前を
狸だと聞き間違えてしまったけど
あれね、実はわざとなんだ

僕すごく人見知りでさ
名前を呼ぶのが何だか恥ずかしくて…
だから、ごめんね

短い時間だったけど楽しかった

女性への早変わりは見事だったよ
あんなの初めて見たからさ
すごく感動した

あ、あとね
煙草が嫌だって言ったら
君はすぐに消してくれたよね
嬉しかったな

だからさ、実はね
「小判が怖い」っていう話、
あれが嘘だってことくらい
僕にはすぐに分かったんだよ

それでも怒ったふりをして
君のところに小判を届けに行ったのは
また、君に会いたかったから
どうしてもまた話がしたかったから

素直になれなくてさ
そのまま帰ってきちゃったけどね
ざまあみろ!だなんて、ごめんね

嘘を信じてるふりをし続けていれば
君はまた小判が欲しくて
会いに来てくれるのかな、なんて
そんな打算してたんだけど
そんなにうまくはいかなかったね

結局、嘘つきは僕も一緒なんだ

毎日君を想ってる
あれから友達はまだできてない
また会えたら嬉しいんだけど
きっと君は僕の事なんて
とっくに忘れてしまったよね
寂しいけど、仕方ない

君に会って
初めて自分がウワバミであることを
この運命を心から恨んだよ

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SILENT YARITORI

ちゅーへの手紙